ポリカーボネートとは?特徴や屋根に使用するメリット・デメリット
2024/01/04
ベランダやカーポートの屋根などによく使われている素材に「ポリカーボネート」というものがあります。
このポリカーボネートは耐久性が高く、景観に馴染みやすいという特徴があり、使われることが多い素材です。
この記事では、ポリカーボネートの特徴や使用するメリット・デメリットについて解説します。
ポリカーボネートとは?
「ポリカーボネート」とは、熱可塑性樹脂(ねつかそせいじゅし)の一種であるポリカーボネート樹脂を原料としたプラスチック素材です。
耐衝撃性や耐久性、透明度が高いという特徴があります。
また、紫外線にも強く、温度についても-40℃~125℃まで耐えられるため、気温の変化が大きく常に紫外線にさらされている屋根や看板などの屋外に最適な素材です。
また、ポリカーボネートは加工性が高いという特徴もあり、さまざまな場面で使われています。
ポリカーボネートがよく使われている場所としては、
- ・カーポート屋根材
- ・テラス屋根材
- ・ベランダ屋根材
- ・屋根材の留め具
などがあります。
このように、身近な場所にポリカーボネートは使われています。
ポリカーボネートとアクリルの違いについて
ポリカーボネートと似た素材にアクリルがあります。
アクリルもポリカーボネートと同様にプラスチック素材ですが、両者は異なる素材です。
ここでは、ポリカーボネートとアクリルの違いについて解説します。
アクリルとは?
「アクリル」は、アクリル樹脂とも呼ばれていて、透明性が高く加工しやすいため、さまざまな製品に使用されています。
また、耐久性が高い素材であるため、破損した場合でもガラスように飛び散る心配はありません。
アクリルは透明度が高く、ガラスよりも軽くて安全性が高いことから、カーポート等の屋根材としてよく使用されてきました。
ポリカーボネートとアクリルの違い
ポリカーボネートとアクリルは同じプラスチック素材ですが、両者には以下の違いがあります。
耐衝撃性
耐衝撃性については、アクリルよりもポリカーボネートの方が衝撃に強く、割れにくい特性があります。
ポリカーボネートの強度はアクリルの約50倍もあり、プラスチック素材の中では最高クラスとなっています。
耐久性
耐久性についても、ポリカーボネートのほうがアクリルよりも高いといわれています。
また、アクリルは紫外線に弱いため、ポリカーボネートに比べて劣化が早いという特徴があります。
紫外線は強度が低下する原因になるため、ポリカーボネートは屋根材に適しているといえるでしょう。
透明性
透明性についても違いがあります。
ポリカーボネートの透明度が86%に対して、アクリルは93%と、透明度についてはアクリルが高くなっています。
ただ、両者の差は小さいため、見た目で判断できないレベルでしょう。
ポリカーボネートとガルバリウム鋼板の違い
カーポートなどでよく使用される素材にガルバリウム鋼板があります。
ここでは、ポリカーボネートとガルバリウム鋼板の違いについて解説します。
価格相場
ポリカーボネートとガルバリウム鋼板は、価格で違いがあります。
ポリカーボネートには波板と平板があり、波板は6尺(1820ミリメートル×795ミリメートル)で1,500円〜3,500円程度、平板は10,000円程度です。
一方で、ガルバリウム鋼板の場合は、6尺は2,000〜4,000円程度です。
このように、ガルバリウム鋼板の方が価格がやや高い傾向があります。
耐用年数
ポリカーボネートとガルバリウム鋼板は耐用年数にも違いがあります。
ポリカーボネートの耐用年数は約10年であるのに対し、ガルバリウム鋼板の耐用年数は15年〜20年あり、さらに塗装をすることで耐用年数を伸ばすことも可能です。
耐用年数については、ガルバリウム鋼板の方が高くなっています。
衝撃への強さ
ポリカーボネートとガルバリウム鋼板はどちらも衝撃に強い素材です。
ポリカーボネートは、透明な樹脂の中でも衝撃に強い素材で、表面に弾力性があるため、加工時や飛来物が衝突した場合でも割れにくい特徴があります。
ガルバリウム鋼板はアルミニウムやシリコン、亜鉛を合わせた金属系で、衝撃に強い素材です。
加工のしやすさ
ポリカーボネートとガルバリウム鋼板は、加工のしやすさに違いがあります。
ポリカーボネートは軽量で加工しやすいため、カッターを使って切断できます。
一方で、ガルバリウム鋼板は加工が難しい素材です。
ガルバリウム鋼板は傷が付きやすいため、業者でも慎重な扱いが求められます。
ポリカーボネートのメリット
ここでは、ポリカーボネートのメリットについて解説します。
高い耐衝撃性
ポリカーボネートは、耐衝撃性が高いのが特徴です。
アクリルの約50倍の耐衝撃性があり、破損しにくい点がメリットです。
上から物を落としても割れる確率が低いため、飛来物による破損のリスクを心配しなくてもよいため、屋根などによく使われています。
紫外線に強い
ポリカーボネートは紫外線に強い点もメリットです。
ポリカーボネートの表面には、紫外線の影響を防ぐために、耐候処理が施されています。
ポリカーボネートは透明な素材でありながら、紫外線をカットするため、ベランダやカーポートの屋根によく使われています。
紫外線はカットしたいけど屋根の下は明るくしたい、という場合にポリカーボネートは最適です。
自己消火性
ポリカーボネートには、自己消火性が備わっています。
自己消火性とは、燃えてしまった場合でも火元が離れれば自然と炎が消えていく性質のことです。
自宅や近隣で火事が発生した場合は、引火して屋根まで燃え移る危険性があります。
もし屋根が燃えてしまうと、修繕には多額の費用が必要です。
ベランダの屋根をポリカーボネートにしておくと、自然に火が消えるため、安心度の高い素材として人気があります。
加工しやすい
ポリカーボネートは柔らかい素材であるため、加工しやすく、さまざまな形状に施工できます。
ポリカーボネートは形状を柔軟に変えられるため、屋根以外にも使われています。
ポリカーボネートはカッターで切断できるほどの加工しやすい素材で、現場で加工しても時間がかからないため、工期も短くて済みます。
軽いので持ち運びが楽
ポリカーボネートは非常に軽量な素材です。そのため、手軽に持ち運びできることもメリットの1つです。
ポリカーボネートはホームセンターなどで購入した場合でも、持ち運びが簡単なので容易に移動できます。
また、DIYで使用する場合も、加工時の移動や設置時などに力を使わずに動かすことができます。
ただ、軽い素材だからといって、DIYでの作業はおすすめできません。
理由としては、ポリカーボネートをうまく設置できなかったり、軽量のため風で飛ばされて周囲に被害を与えてしまうリスクがあるためです。
そのため、ポリカーボネートは専門の業者にまかせましょう。
ポリカーボネートのデメリット
ここでは、ポリカーボネートのデメリットについて解説します。
アクリルと比べて柔らかい
ポリカーボネートは、アクリルよりも柔らかい素材であるため、傷がつきやすい点がデメリットです。
ポリカーボネートは加工しやすいというメリットがありますが、タオルでこすったり、飛来物が当たったりするだけで傷がついてしまいます。
そのため、施工時や搬入時は傷がつきやすいため注意が必要です。
耐久性は高いのですが、傷がつかないように扱う際は注意するようにしましょう。
溶剤に弱い
ポリカーボネートは、アルコールやガソリンなどの溶剤に弱い素材です。
もし溶剤が浸透してしまうと、溶けたり白くなったりする可能性があります。
ポリカーボネートは一度劣化してしまうと修繕は難しいため、交換することになってしまいます。
ポリカーボネートを洗剤で掃除をしたい場合は、成分をよく確認してから使用するようにしましょう。
汚れが落ちにくい
ポリカーボネートは、汚れがついてしまうと落とすのが難しいというデメリットがあります。
ポリカーボネートはプラスチック素材で薬品に弱い素材です。そのため、汚れを落とす場合は薄めた中性洗剤を使用しましょう。
また、洗い終わったら、水でしっかり洗剤を流すことを忘れないようにしましょう。
ポリカーボネートに汚れがついた場合は、そのまま放置せずにこまめに掃除することが重要です。
ただし、カーポートの屋根にポリカーボネートを使用した場合は、汚れていた場合でも目立ちにくいため、そこまで気にする必要はないかもしれません。
ポリカーボネート板の価格
ここでは、カーポートやベランダなどの屋根に使われるポリカーボネート板の価格について紹介します。
屋根に使用されるポリカーボネート板には、平板と波板の2種類あります。
ポリカーボネートの価格は寸法によって異なり、
- ・6尺サイズ:1,500〜3,500円ほど
- ・7尺サイズ:1,800〜3,800円ほど
- ・10尺サイズ:2,700〜4,700円ほど
が相場です。
もし業者に依頼して施工する場合は、この価格に施工費や足場の設置費用などが追加されます。
施工箇所によっては、足場ではなくハシゴで対応できる場合もあるため、大きな追加費用がかからないケースもあります。
費用の詳細については、業者に見積もりを依頼して確認するようにしましょう。
ポリカーボネートを取り扱う際の注意点
ここでは、ポリカーボネートを取り扱う際の注意点について解説します。
設置するとき
ポリカーボネートは傷がつきやすい素材であるため、使用する際は丁寧に取り扱うようにしましょう。
特に、運んだり施工する際には注意が必要です。
ポリカーボネートは傷がついた状態で使い続けると、劣化が早くなる危険性があります。
そのため、施工時には傷がないか確認しながら行うようにしましょう。
ポリカーボネートには表と裏があり、向きを間違えると本来の耐衝撃性を発揮できません。
そのため、表裏を間違えないように注意しましょう。裏面には注意書きが記載されているシールがあるため、それで見分けがつきます。
表面を太陽が当たる方に向け、裏面を地面に向けて施工します。
交換のタイミング
ポリカーボネートは交換のタイミングも重要です。
耐用年数が過ぎていたり、経年劣化を放置していると、ポリカーボネートが傷んで落下するかもしれません。
また、留め具が浮いていたり、屋根材にひびが入っている場合は、劣化がはじまっている証拠です。
劣化が見られる場合は、業者に点検してもらうようにしましょう。
まとめ
ここまで、ポリカーボネートの特徴や使用するメリット・デメリットについて解説しました。
ポリカーボネートは軽量で耐衝撃性が高い素材であるため、屋根材としてよく使われる素材です。
また、自己消火性があり紫外線をカットしてくれるため、ベランダやカーポートの屋根によく使われています。
ただし、汚れが落ちにくく傷がつきやすいため、取り扱いには十分注意しましょう。