瓦屋根の漆喰の劣化を放置すると雨漏りの原因に!劣化原因や補修方法を解説
2023/06/02
「漆喰が劣化するとどうなるのか」
「漆喰はメンテナンスが必要なのか知りたい」
「漆喰の補修方法や修理費用を知りたい」
このようにお考えではありませんか?
瓦屋根の漆喰は、経年劣化や地震などの揺れによって、ひび割れやはがれが生じます。漆喰のひび割れやはがれを放置すると、雨漏りにつながります。
この記事では、漆喰の重要性、漆喰の役割や劣化症状、補修方法や修理費用相場について詳しく解説します。
漆喰の補修を考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
瓦屋根の漆喰の重要性
漆喰は、瓦屋根にしか使われない建築材料です。瓦屋根の頂点に位置する棟(むね)という部分で使用される棟瓦の土台を保護するために使われます。
漆喰は、日本では縄文時代後期から使用されており、世界でも約4000年以上の歴史があります。特に日本ではお城や伝統的な家屋でよく見られる建築材です。
漆喰の役割
漆喰の役割としては、以下の3つがあります。
- 外観の美しさを演出すること
- 瓦同士の接着を固めること
- 雨水の浸入を防ぐこと
外観の美しさを演出すること
漆喰は、主成分である水酸化カルシウムと炭酸カルシウムに水と砂を混ぜて作られ、白く仕上げられます。見た目が白いことで、外観をきれいに美しく見せる役割があります。
瓦同士の接着を固めること
漆喰は、瓦同士を接着させる接着剤としても機能します。棟瓦に隙間があると瓦がズレやすくなり、落下の危険性が生じます。漆喰を使用してしっかりと固定することで、地震や強風にも耐えることができ、瓦の脱落のリスクを減らすことができるのです。
雨水の浸入を防ぐこと
漆喰は雨水の侵入を防ぐ役割も担っており、棟瓦の下には瓦を固定するための葺き土が敷かれています。漆喰はこの葺き土の外側に塗られ、瓦を隙間なく固定すると同時に雨水の浸入を防ぐのです。また、ネズミなどの小動物の侵入を防ぐ役割もあります。
漆喰工事は技術がいる工事のため、瓦職人がいる専門の業者に頼むのがよいでしょう。
漆喰の補修工事になれていない業者が行うと、雨漏りにつながる可能性があります。
漆喰が必要な瓦の種類
漆喰が必要な瓦は冒頭でも説明したとおり、瓦のみに使われます。
主な瓦として、セメント瓦、モニエル瓦、粘土瓦があり、これらの瓦には漆喰が使われているため、定期的なメンテナンスが必要となります。
粘土瓦は陶器のような素材であり、瓦の中でも釉薬(ゆうやく)とよばれるガラス層を塗布した「釉薬瓦」や、「いぶし瓦」と呼ばれる、高温で瓦を焼き上げた後に蒸し焼きにすることで、独特の輝きが生まれる瓦があり、銀色や黒っぽい色をしています。
セメント瓦とモニエル瓦は、セメント瓦に分類されます。
セメント瓦はセメントを主原料とし、水を混ぜて固めたもので、色やツヤがなく防水性もないため、塗装が必要な瓦です。
モニエル瓦も同じセメントが主原料ですが、砂を混ぜたもので、表面がざらざらしています。デザイン性に優れ、耐久性も高いのが特徴です。
粘土瓦の耐用年数は60〜100年、セメント瓦も30〜40年は保つといわれています。
しかし、瓦同士を接着する漆喰や、瓦の下にある防水シートや下地材については、15〜20年ごとのメンテナンスが必要です。
漆喰や防水シートが劣化したまま放置すると、雨漏りの原因になってしまいますので、放置せずにしっかりとメンテナンスしていくことが大切です。
以下の関連記事で、セメント瓦とモニエル瓦の見分け方にも解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
瓦屋根の漆喰の劣化症状と原因
瓦屋根の漆喰の劣化症状とその原因について紹介します。劣化の症状を把握することで、雨漏りを予防し、適切な対処ができます。
漆喰の劣化症状
漆喰の劣化症状としては、以下のような症状があります。
- ・漆喰のコケやカビ
- ・漆喰のひび割れ
- ・漆喰のはがれ
- ・棟の土台(葺き土)の崩れ
漆喰のコケやカビ
漆喰には、ひび割れやはがれがなくても、コケやカビが生えて黒色や緑色に変色することがあります。漆喰にわずかな隙間があると、雨水が浸入し、日光が当たらないため湿気がこもり、コケやカビが発生します。
この状態を放置すると、建物内部へ浸水し、屋根の下地材の腐食などに影響が生じる可能性もあります。
漆喰のひび割れ
漆喰は、常に紫外線や雨水の影響を受け、水分の吸収と放出を繰り返すため、ひび割れが発生します。経年劣化以外にも、地震などの揺れによってひび割れが生じることや、既にひび割れがある場合には拡大することもあります。
ひび割れを放置すると、割れやはがれにつながります。この段階では、すぐに修理が必要とはいえませんが、他のひび割れや欠けがないかもチェックしておくことがよいでしょう。
漆喰のはがれ
ひび割れが進行すると、はがれが発生します。漆喰が完全にはがれてしまった場合は、早急に修理を行うことが重要です。
屋根の上や庭先にコンクリート片や白い塊が見つかれば、漆喰のはがれの可能性が高いです。はがれを放置すると、はがれた箇所から雨水が侵入し、雨漏りの原因となります。
棟の土台(葺き土)の崩れ
漆喰の内側には、瓦を固定する土台となる葺き土(ふきつち)が敷かれています。葺き土は漆喰と同様に水を吸収し放出する性質を持っており、建物内部への浸水を防いでいます。
しかし、葺き土が流れ出たり崩れたりすると、隙間から雨水が建物内部に侵入し、雨漏りの原因となるのです。
雨漏りにつながる原因
漆喰のひび割れやはがれが発生すると、そこから雨水が浸入します。また、葺き土も漆喰と同様に水分を吸収する性質があり、水分を多く含むことで劣化が進み、建物内部への浸水や雨漏りの原因となります。
さらに、水分を多く含んだ土台は弱くなり、瓦のズレを引き起こす可能性もあります。強風が吹くと、瓦がさらにはがれ落ちるリスクも高まります。
雨漏りによって防水シートや下地材が浸水し、劣化することも考えられます。
漆喰の初期のひび割れを放置すると、修理が漆喰のメンテナンスだけで済むはずだったものが、全体の屋根工事に発展し、高額な費用がかかることになります。そのため、定期的なメンテナンスをしっかり行うことが重要です。
瓦屋根の漆喰の補修方法と費用相場
瓦屋根の漆喰の補修方法と費用相場について紹介します。瓦の状態に応じて、どの工事方法が適切かを判断する際の参考にしてみてください。
漆喰の詰め直し
漆喰の詰め直し工事は、既存の漆喰をはがし、新たに漆喰を塗り直す補修工事です。既存の漆喰の上から重ねて塗る「詰め増し」という方法もありますが、この方法はおすすめできません。既存の隙間や割れがある箇所に上から塗っても、一緒にはがれることが多く、寿命も短くなります。
漆喰の割れや欠けの修理に使用される工事で、棟瓦や瓦自体に問題がない場合は、瓦を再利用します。この工事は通常、1日程度で完了します。
棟瓦の積み直し
棟瓦の積み直しは、漆喰の劣化以外にも、瓦がズレたり歪んだりしている場合に行われる補修工事です。既存の棟瓦を全て取り外し、漆喰を塗り直してから再度棟瓦を組み上げます。
この工事は漆喰の詰め直し工事よりも手間がかかります。全体を解体し、基礎を作り直すため、通常は3〜7日程度かかります。
また、棟の積み直し工事には、湿式工法と乾式工法の2種類があります。
それぞれの特徴は以下のとおりです。
棟の積み直し工事の種類 | 特徴 |
---|---|
湿式工法 | ・漆喰と葺き土で固定 |
・工事費が安く、仕上がりも美しい | |
・屋根が重くなり、耐震性は低くなる | |
乾式工法 | ・金具と下地材で固定 |
・湿式に比べて1/10程度軽くなり、耐震性にも強い | |
・工事費が高い |
修理費用の相場
漆喰の修理費用の相場についても紹介します。
工事方法 | 工事費用相場 |
---|---|
漆喰の部分塗り | 5〜10万 |
漆喰の塗り直し | 15〜20万 |
棟の葺き直し(湿式工法) | 15〜30万 |
棟の葺き直し(乾式工法) | 20〜45万 |
上記以外にも、足場代や出張費などが必要となります。足場代の費用相場は15〜20万程度です。敷地の広さにもよって足場代は変わります。
また、漆喰補修工事にも補助金や助成金が使える場合もあります。
以下は補助制度の一例です。お住まいの自治体によって使える制度が異なることもありますので、管轄の自治体に確認してみることをおすすめします。
- ・リフォーム全般に対する補助制度
- ・耐震診断・改修等補助制度
- ・長期優良住宅化リフォーム推進事業
以下のサイトで、各自治体で利用できる補助制度を調べることができますので、活用してみてください。
参考サイト:地方公共団体における住宅リフォームに係る支援制度検索サイト
まとめ:漆喰の補修は伊藤工芸へ!
漆喰は経年劣化や地震などの揺れによって、ひび割れやはがれが生じる可能性があります。
劣化した漆喰を放置すると雨漏りの原因となります。
瓦の耐用年数は60〜100年程ですが、漆喰や下地材は15〜20年で劣化してきますので、瓦屋根よりも早くメンテナンスが必要となります。
漆喰の補修工事は、瓦屋根と同様に技術や経験を必要とする工事です。自分で補修したり、知識がない業者へ依頼すると雨漏りにつながる恐れがあるので、専門の業者へ依頼するようにしましょう。
浜松市周辺で漆喰の補修工事をお考えの方は、伊藤工芸におまかせください。
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瓦屋根漆喰補修の施工実績