屋根にカビや苔が生える原因は?対処法や予防策もご紹介
2023/12/05
経年劣化により、住宅の屋根や外壁には汚れが蓄積し、カビや苔の発生を引き起こすことがあります。
このような状態は、建物の見た目を損なうだけでなく、構造的な問題も引き起こす可能性があります。
そこでこの記事では、屋根や外壁のカビ・苔の発生メカニズム、効果的な対策方法、そして予防法についてご説明します。
カビ・苔による建物へのリスク
建物の経年変化に伴い、カビや苔の繁殖が問題となってきます。これらは特にスレート屋根において顕著で、大規模な発生が見られることがあります。
日光の当たりにくい外壁部分でも同様の問題が起こり、一度除去しても環境条件によっては再発を繰り返すことがあります。
これらの微生物は自身が保持する水分に加え、雨水を滞留させる原因となるため、建物の保全において深刻な問題となります。建材の劣化を防ぐためには、できる限り乾燥した状態を維持することが重要です。
発生しやすい箇所と建材の特徴
一般的に日陰部分での発生が指摘されていますが、実際には日当たりの良い場所でも繁殖する種類が存在し、屋根上や外壁面での増殖が確認されています。
築年数の進んだスレート屋根では、特に発生率が高くなる傾向にあります。外壁での発生は比較的少ないものの、日照の少ない地表付近や排水不良の基礎部分で見られることがあります。
さらに、通気性の悪いベランダやバルコニーの床面、排水設備においても発生リスクが存在します。
苔の生える場所と特徴
住宅の外装における苔の発生箇所と特性について説明します。
発生しやすい場所
苔は主にスレート(カラーベスト・コロニアル)屋根や、排水機能が低下したセメント瓦、コンクリート瓦(モニエル瓦)などの屋根材に発生します。
粘土瓦でも、日陰になる部分に土砂が蓄積すると、そこを起点に広がることがあります。
主な特徴
苔の種類によって光への反応は異なり、日照条件に応じて様々な種類が生育します。
外壁では、特に窯業系サイディング、モルタル壁面、コンクリート部分での発生が目立ちます。
カビの発生箇所と特徴
カビは外見上苔に似ていますが、菌類に分類され、光を必要とせずに繁殖可能です。
日陰だけでなく、日当たりの良い場所でも見られます。
湿気の滞留しやすい箇所や、木部、軒天井で特に目立ちます。
スレート(カラーベスト・コロニアル)屋根や排水不良のセメント瓦、コンクリート瓦にも発生し、黒色や灰色の変色として確認できます。
カビの好発部位
湿気の停滞する場所、木材表面、軒天井に多く見られます。
また、屋根や外壁の枯死した苔や藻類の上にも繁殖します。小屋裏の雨漏り箇所で見られる変色は、ほとんどの場合カビが原因です。
カビの特性
光の有無に関係なく成長し、明るい環境でも繁殖します。
枯死した苔や藻類を養分として利用することもあります。
苔より多くの水分を必要とし、色調も多様ですが、建物外装では主に黒色系の変色として現れます。
カビや苔が生える理由
カビと苔は空気中を浮遊する胞子から発生します。特にカビの胞子は非常に軽量で、数千メートルの高さまで到達することができます。
通常の室内空気1立方メートルには、数個から数千個もの胞子が存在していると考えられています。
これらの胞子は、適切な条件の場所に付着すると急速に成長を始めます。
建物の外装部分でカビや苔が増殖するのは、その環境が生育に最適な条件を備えているからです。
胞子の飛散は年間を通じて発生しており、種類によって活発な時期が異なります。
特に湿気の多い場所は、カビや苔の繁殖を促進する環境となります。
建物の外装部分では、排水不良や結露により水分が残留しやすい箇所で発生が見られます。
この問題は主に外装材の保護層である塗膜が劣化することで深刻化します。
カビ・苔が生えた場合の対処法
カビや苔の除去には、薄めた中性洗剤を使用し、柔らかいスポンジやブラシで丁寧に清掃します。建材を保護するため、強アルカリ性や強酸性の洗剤は避けてください。
屋根に発生した場合
屋根での作業は重大な事故につながる危険性があるため、専門業者への依頼をお勧めします。高所での作業全般において、素人による清掃は避けるべきです。
特に、雨天後は表面が非常に滑りやすく、転落事故の可能性が高まります。安全のため、高所の処置は必ず専門家に任せましょう。
外壁に発生した場合
手の届く範囲の外壁清掃は、適切な道具と保護具があれば自身で実施可能です。清掃時は希釈した中性洗剤を使用し、優しく拭き取ります。
作業時は必ず保護メガネとゴム手袋を着用し、洗剤の飛散や手荒れを防止してください。
通気性の改善
カビや苔の発生箇所周辺の環境を確認し、通気性を妨げている要因を特定します。植栽の配置変更や剪定により、空気の流れを改善できる場合があります。
排水対策の実施
建物の基礎部分や塀周辺での発生は、多くの場合排水不良が原因です。不要な植木鉢の移動や、適切な排水勾配の確保により、水はけを改善しましょう。
強力な洗浄機器使用時の注意点
高圧洗浄機やスチームクリーナーの使用は、建材への損傷リスクが高いため推奨されません。これらの機器は確かに効果的ですが、不適切な使用により外装材を痛める可能性があります。
また、近隣への配慮も必要で、特に住宅密集地では汚水の飛散に注意が必要です。スチームクリーナーについては、高温による建材の劣化や、水分の内部浸透という問題があります。
再発防止と効果的な処置方法
清掃後にカビや苔が短期間で再び発生する場合、多くは建物の防水機能が低下している可能性があります。このような状態を放置すると建材の劣化を招くため、適切な塗装工事による防水性の向上が必要となります。
以下では、効果的な対策方法をご紹介します。
塗装による防水性の回復
建物の保護には、専門的な塗装処理が有効です。まず高圧洗浄で表面を清浄にし、その後で保護塗装を施工します。
特に再発を防ぎたい場合は、塗装前にバイオ洗浄を実施することで、より高い予防効果が期待できます。バイオ洗浄は初期費用は高めですが、繰り返し発生に悩まれている方には特におすすめの選択肢です。
塗装工事の際は、下地処理が重要です。カビや苔が残った状態での塗装は、塗膜の密着不良や早期劣化の原因となります。
バイオ洗浄の特徴と効果
専用の洗浄剤を使用するバイオ洗浄は、微生物を効果的に分解・除去できる新しい方法です。通常の洗浄では手の届きにくい箇所でも処理が可能です。
使用される洗浄液は植物由来成分を含み、殺菌・抗菌効果を備えています。施工手順としては、軽度の高圧洗浄後に専用液を散布し、浸透時間を置いてから最終洗浄を行います。
この方法は建材への負担が少なく、しかも徹底的な除去が可能です。カビや苔は強い生命力を持つため、完全な除去が再発防止の鍵となりますが、バイオ洗浄はその点でも優れた効果を発揮します。
カビ・苔の予防対策
建物の外装を長期的に保護するための効果的な予防方法をご紹介します。
抗菌塗料の活用
近年、優れた防カビ性能を持つ塗料が開発されています。これらの塗料は、建物の美観を保ちながら微生物の繁殖を抑制します。
専門的な清掃や洗浄の後に、このタイプの塗料を使用することで、長期的な保護効果が期待できます。
継続的な点検と手入れ
微生物の繁殖は時間とともに進行し、放置すると対処が困難になります。早期発見と対応が重要です。
建物の状態を定期的に確認し、必要に応じて清掃を行うことで、深刻な問題を未然に防ぐことができます。
軽度な汚れは自己管理で対応可能ですので、四半期ごとの点検をお勧めします。
まとめ
本記事では、住宅の外装におけるカビ・苔の問題とその解決策について詳しく見てきました。
これらの微生物が発生する主な要因は湿気の存在で、特に雨水が滞留しやすい箇所での繁殖が顕著です。
放置すると、微生物自体が保持する水分により建材が劣化し、住宅の構造的な耐久性に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
解決策として、専門的な洗浄による除去と、適切な防水塗装による予防が効果的です。
なお、屋根などの高所での作業は重大な事故につながる危険があるため、必ず専門業者への依頼をお勧めします。