屋上コンクリートからの雨漏りの原因と修理方法
2024/01/04
鉄筋コンクリート造の建物は、雨漏りが起こりにくいと思う方も多いのではないでしょうか。
ただ、コンクリートの平らな屋根は、雨漏りリスクが高くメンテナンスが必要です。
この記事では、屋上コンクリートからの雨漏りの原因や修理方法について解説します。
屋上コンクリートの屋根の特徴
屋上コンクリートの屋根は、ビルやマンションなどの鉄筋コンクリート造の建物で採用されています。
この屋上コンクリートの屋根の特徴は、重厚感があり、高層にもでき、耐震性や耐久性を高くできる点があります。
屋上コンクリートの屋根は、陸屋根と呼ばれていて、傾斜のない平らな屋根のことです。
屋上のスペースを有効に活用できるため、近年は一般住宅にも採用されています。
ただし、屋上コンクリートの屋根は平らであることから、雨漏りしやすいというデメリットがあります。
平らな屋根は雨が降ったときの水はけが悪いため、経年劣化により屋根の防水性が低下すると雨漏りのリスクが高くなってしまいます。
屋上コンクリートの屋根のメンテナンスの時期
屋上コンクリートの屋根は、防水性が低下すると雨漏りのリスクが増加します。
防水性が低下してくるタイミングは10年程度となっていて、劣化症状によってはメンテナンスが必要です。
屋上コンクリートの屋根のメンテナンス時期を判断するために劣化症状には、以下のものがあります。
- 未塗装面の表面が劣化している
- 未塗装面の表面が粉っぽくなっている
- 塗装した面のツヤがなくなっている
- 塗装した面が色あせ、粉っぽくなっている
- 古い塗料がはがれている
- 古い塗料がはがれかかっている
もしこのような劣化症状がある場合は、メンテナンスを検討してみてください。
屋上コンクリートの屋根に塗料を塗る方法
屋上コンクリートの屋根のメンテナンスには、塗料を塗る方法があります。
ここでは、屋上コンクリートの屋根に塗料を塗る方法の手順を紹介します。
下地調整・養生・下塗り
まず、剥がれかかった古い塗膜をワイヤーブラシ、サンドペーパーなどを使って除去します。
その後、塗装面の汚れや藻などを取り除き、デッキブラシなどで水洗いしてから乾燥させます。
もしコンクリートにひび割れやへこみがある場合は、大きさや深さによって、適切な補修材を選んで埋めておきます。
また、塗料がついて困るところはマスキングテープなどで養生します。
その後、上塗りする塗料に適したシーラーを下塗りとして塗装します。
塗り方について
塗り方は、塗料の種類によって異なります。
「水性屋上防水塗料」の場合は、塗料を使う前に容器の底から良くかき混ぜて均一にします。
もし塗りにくい場合は、水を入れて使用します。
塗る際には、コーナーや細部の塗りにくいところから塗り、広い面はローラーなどを使って塗ります。
1度塗りがよく乾いてから2度塗りを行います。
「油性屋根・屋上防水剤」の場合は、容器の底までよく混ぜて均一にして、ハケで約1mm厚さに塗り広げます。
塗りにくい時はペイントうすめ液を入れて使用します。
2度塗りするときは1度塗りから1~2日間をあけましょう。
後始末
塗装が終わったら、塗料が手につかなくなってから、マスキングテープを外します。
塗装が終了したら、すぐに塗装道具についている塗料を落とします。
水性塗料であれば水で、油性塗料であればペイントうすめ液で下洗いし、その後、中性洗剤で洗います。
また、使い残した塗料はしっかりとふたをしめて保存します。
残った塗料を捨てるときは新聞紙等に広げて、乾かしてから可燃ごみで処分しましょう。
コンクリートの屋根から雨漏りする原因
コンクリートの屋根は雨漏りのリスクがあります。
ここでは、雨漏りの原因について解説します。
コンクリートのひび割れ
コンクリートの屋根から雨漏りする原因には、コンクリートのひび割れがあります。
建物の築年数が経過すると、ひび割れが発生するリスクが高くなります。
ひび割れが発生する原因には、以下のものがあります。
乾燥収縮
コンクリートは施工時に水を混ぜて流し込みます。
コンクリートが乾燥すると内部の水分が蒸発し、コンクリートが収縮することでひび割れが発生します。
気温の変化
コンクリートは、温度が高くなると膨張し、低くなると収縮する性質があります。
そのため、気温の変化があると、伸縮の力に耐えきれなくなり、ひび割れが発生します。
特に、屋上は1日の表面温度の変化が大きい場所なので、日々の伸縮の繰り返しにより、経年でひび割れが成長してしまいます。
コンクリートの中性化
コンクリートは、経年で内部のカルシウム化合物が空気中の二酸化炭素にさらされることで中性化します。
コンクリートが中性化すると、鉄筋がサビて膨張してしまい、コンクリートにひび割れが発生します。
施工不良
コンクリートの厚み不足や強度不足などの施工不良でもひび割れが発生します。
ひび割れは徐々に広がってしまうため、大きくなる前に補修する必要があります。
コーキングの劣化
コンクリートの屋根から雨漏りする原因として、コーキングの劣化があります。
コーキング材は、屋上の目地・防水シートの隙間などで使用されていますが、経年劣化してしまいます。
コーキング材が劣化して発生したひび割れや破断した隙間から雨水が浸入することで、雨漏りの原因となります。
屋上の防水性の低下
コンクリートの屋根から雨漏りする原因として、屋上の防水性の低下があります。
屋上には、溜まった雨水によって雨漏りしないように防水性を確保するように施工されています。
この防水性は、10年程度で劣化が目立ちはじめ、そのまま放置すると雨漏りの原因となります。
一度雨漏りが発生してしまうと、普通の雨でも雨漏りするようになるため、早期に修繕が必要です。
補修はDIYでは困難であるため、業者に依頼するようにしましょう。
排水の詰まり
コンクリートの屋根から雨漏りする原因に、排水の詰まりがあります。
排水口にゴミや枯葉などが溜まることで、雨水が排水されずに水溜まりができてしまうと、水圧がかかり雨漏りの原因となるケースがあります。
また、頻繁に水が溜まることで排水口周辺の防水層が劣化し破断してしまうと、その隙間から雨水が浸入し雨漏りの原因になります。
屋根の勾配不良
コンクリートの屋根から雨漏りする原因には、屋根の勾配不良があります。
屋上の床を支える構造体が変形して勾配不良が発生すると、雨水がうまく排出されず水溜まりができてしまいます。
また、施工直後から勾配不良がある場合や、補修を行った後に勾配不良となるケースもあります。
勾配不良で雨漏りが起こったときは、水勾配をやり直しながらの全面的な防水施工が必要です。
これは大規模な修繕になるため、費用は100万円程度かかります。
屋上コンクリートからの雨漏りの補修方法
屋上コンクリートからの雨漏りが発生した場合は、被害を拡大させないために、早期に補修が必要です。
ここでは屋上コンクリート屋根の雨漏りの補修方法を紹介します。
ひび割れの補修方法
屋上コンクリート屋根の雨漏りの原因で多いのがコンクリートのひび割れです。
ひび割れには表面的で浅いヘアークラックと、内部まで深く割れている構造クラックがあります。そのため、最初にひび割れの大きさを測り、自分で補修可能かどうかを確認しましょう。
ひび割れが0.3mm~1mmほどの幅の場合は、自分で補修が可能です。
0.3mm幅以下の場合は、雨漏りする可能性は低いため、すぐに補修する必要はありません。ただし、ひび割れが拡大するのを防ぐために補修しておくといいでしょう。
ひび割れがこれ以上大きい場合は、補修は業者に依頼します。
ひび割れ補修を行う場合は、コンクリート粉を塗布し、適量の水を加えて補修します。
補修方法には「チョーク式」と「スプレー式」の2種類あります。
チョーク式補修方法
まず、屋上の床のひび割れに指で水を塗布し、チョーク型のコンクリート粉を塗りこみます。
この作業を10cm間隔で繰り返し行い、最後は指でしっかりと押さえます。
スプレー式補修方法
ひび割れの場所を水で濡らし、セメントスプレーを塗布します。
最後にスポンジでならしたら完了です。
自分で補修を行う際の注意点
補修のためには、ひび割れにコンクリートを定着させる必要があるため、以下の点を注意しましょう。
- ・湿度の低い晴れた日に行う
- ・ひび割れ箇所と周囲の汚れを事前に取っておく
- ・ひび割れ箇所が油分で汚れている場合は、洗剤やアルコールで掃除する
- ・補修箇所以外が汚れないように養生する
コーキングの打ち直し
屋上の床の目地のコーキングの劣化が原因で雨漏りしている場合は、コーキングの打ち直しが必要です。
屋上の補修の場合は、ポリウレタン系や変性シリコーン系のコーキング材を使います。
コーキングの打ち直しは、まず古いコーキングをカッターナイフを使い、切れ目を入れながら除去します。
次に、コーキングを打ち直す箇所を洗浄し、完全に乾燥させます。
打ち直す箇所の周囲にマスキングテープを貼り、ハケを使って下塗り剤を塗ります。
補修箇所にコーキングガンを使いコーキング材を充填し、ヘラを使ってコーキング材を成形します。
最後に、マスキングテープを剥がして、1〜2日ほど乾燥させれば完了です。
防水層の再施工
屋上の床の損傷が小さい場合は、補修用の防水テープで応急処置が可能です。
ただし、損傷が広範囲になっている場合は、防水層の再施工を専門業者に依頼する必要があります。
屋上の場合は、紫外線や雨が直接当たるため劣化が激しいため、早めの対処がおすすめです。
排水口のつまり解消
排水口にゴミや枯葉などが溜まっている場合は、ゴミを取り除き排水口に雨水が流れるようにしましょう。
もし排水口の周囲の防水層が剥がれてしまい、隙間ができている場合は、隙間が小さい場合は防水テープでふさぎましょう。
隙間が大きい場合は、防水層の再施工を専門の業者に依頼しましょう。
まとめ
ここまで、屋上コンクリートからの雨漏りの原因と修理方法について解説しました。
屋上コンクリートは、雨水が溜まりやすいことなどから雨漏りのリスクがあります。
雨漏りの修繕は、初期段階であれば自分で修繕ができますが、程度が進むと業者に依頼する必要があります。
また、雨漏りが発生しやすい劣化症状があるため、定期的に確認しメンテナンスを行うようにしましょう。