【金属屋根】雨漏りが起こった際の症状と修理方法
2023/11/01
最近では、金属でできた屋根材を使った住宅も多く見られます。
そこでここでは、金属屋根の特徴や種類、雨漏りが発生した時の症状や修理方法について解説しています。
屋根から雨漏りがした時にできる応急処置についても解説していますので、どうぞご覧ください。
金属屋根とは
金属屋根とは、金属でできた屋根のことです。
種類には下記のようなものがあり、住宅ではガルバリウム鋼板が使われることがよくあります。
- ・ガルバリウム鋼板:耐久性と熱反射性と持っており錆びにくい、最も普及している金属屋根
- ・トタン:錆びにくく工場や倉庫でよく使われる
- ・銅板:伸縮性・加工性が強く耐久性が高い
- ・ステンレス:耐久性・耐食性・強度に優れている、高価な素材
また、金属屋根には、他の屋根材よりも軽量で耐震性に優れているというメリットがあります。
また、瓦屋根などよりも比較的安価で使える素材で、火災にも強く防水性にも優れています。
勾配が緩い屋根でも施工ができることから、加工しやすい点も特徴です。
デメリットには、遮音性や断熱性に劣っているため雨音が気になりやすく、熱伝導率が高いため夏の日差しを吸収して熱くなりやすい点があります。
金属屋根から雨漏りする原因と症状
金属屋根は継ぎ目が少ないことから、他の屋根材よりも雨漏りしにくい構造です。
しかし、サビが発生したりヘコミが生じたりすると雨漏りに繋がる恐れもあります。
他にも雨漏りの原因となる症状には以下のようなものがあります。
- ・金属屋根の「剥がれ」「浮き」
- ・サビ
- ・ヘコミ
- ・棟板金の破損
- ・谷板金の破損
- ・施工不良
それぞれの原因と症状についてひとつずつ見ていきましょう。
金属屋根の「剥がれ」「浮き」
1つ目は金属屋根の「剥がれ」や「浮き」です。
建物が老朽化したり風圧により、屋根を固定する力が弱まることがあります。すると端や継ぎ目から屋根材が剥がれたり、浮いてきたりすることがあります。1度剥がれや浮きが発生すると、さらに風の影響を受けやすくなり、症状がより悪化してしまうのです。
縦葺きする際に屋根材同士を折り曲げて繋いでいるハゼという箇所は、劣化すると繋ぎ目が浮きやすくなり隙間が発生します。隙間が出るとその部分から雨水が侵入し、下地や防水シートに当たって雨漏りの原因となります。
サビ
2つ目の原因はサビです。
最初はほんの少しのサビでも、放置しているとどんどんサビが広がっていき、サビた部分は最終的には穴が空いてしまいます。サビは金属屋根の塗装が剥がれて金属面が剥き出しになることで発生します。
他にも、物が屋根材に接触してできる傷もサビが発生する原因です。
ヘコミ
3つ目の原因はヘコミです。
物がぶつかったり、屋根の上に登ってアンテナ工事をした時に、重みでへこむことがあります。屋根がへこむとその部分に水が溜まり、劣化の進行が早まって雨漏りの原因になります。
棟板金の破損
4つ目の原因は棟板金の破損です。
棟板金とは、屋根の頂上部分を覆う部材のことです。棟板金には雨水の侵入を防ぐ役割がありますが、風が当たりやすい部分です。そのため、風にあおられて次第に釘が緩み、隙間が空いたり外れたりすることがあります。風にあおられることで釘穴が広がり、そこから水が入り込むことがあり、それが雨漏りの原因になります。棟板金の下には貫板という下地があり、貫板が木材の場合、雨漏りによって腐食する恐れもあるのです。
谷板金の破損
5つ目の原因は谷板金の破損です。
谷板金とは、屋根と屋根が合わさって谷となった部分を繋ぐ部材のことです。谷部分は水が溜まりやすく、雨漏りがしやすいです。そのため、水が入らないように谷板金で塞いでいます。谷板金は、サビや腐食に強い銅が疲れることが多いですが、それでも劣化し傷む場合があります。
また谷部分に使う谷樋には落ち葉やホコリもつまりやすく、雨漏りすることがあるのです。
施工不良
6つ目の原因は施工不良です。
屋根工事では、屋根と外壁の取り合い部分など、違う部材同士を繋ぐ部分などで施工不良が発生することがあります。金属屋根には特有の施工技術が必要です。そのため、職人の経験不足や知識不足によって施工不良が発生することがあります。施工不良も雨漏りが発生する原因となります。
【応急処置】金属屋根が雨漏りした時
雨漏りを発見したらまずは、雨漏りの発生箇所を特定し、急いで応急処置を施しましょう。
ただし、屋根を登って行う応急処置は大変ですので、業者へ依頼するのをおすすめします。
雨漏りの被害に遭った際に少しでも被害を抑えるための応急処置について見ていきましょう。
雨漏りをしている箇所を探す
まず初めに、雨漏りをしている箇所を探しましょう。
天井から水滴が落ちてくる場合、屋根が雨漏りしている可能性があります。壁や窓枠・サッシから雨漏りしているときは、壁や窓枠・サッシの隙間から水が染み込んでいるかどうか見てみましょう。
ベランダも雨漏りしていないか見てみましょう。ベランダの床に水が染み込んでいる場合、ベランダから雨漏りしている恐れがあります。
ただし、屋根の上に登って雨漏り箇所を下がるのは避けてください。天候の悪い時は強風や雨で滑る可能性があるからです。
事故の危険があるので、屋根の上に登るのは専門業者にお願いしましょう。また、ブルーシートで屋根を覆って雨漏りを防ぐ方法もありますが、これも自分でするのは大変危険なのでやめましょう。
天井からの水滴は受け皿で受け止める
家の天井から水滴が落ちてくる場合は、すぐに新聞紙やレジャーシートを敷き、バケツなどを使って雨水を受け止めるようにしましょう。
床が雨漏りで濡れている場合は拭きとってください。床材が水で濡れると傷みやすくなったり、床材の下の下地材にまで水が染み込む可能性があります。また、屋根裏も雨漏りで染み込んでいる可能性があります。同じように水滴を拭き取り、バケツで雨水を受け止めるようにしてください。
金属屋根の雨漏り修理方法と費用相場
ここからは、金属屋根の雨漏り修理方法と費用相場について紹介します。
- ・部分補修
- ・塗装による全体補修
- ・葺き替えによる全体補修
- ・カバー工法による全体補修
雨漏りの状況を見て、どのような修理方法が適切か業者にも相談しながら決めましょう。
部分補修
部分的な補修には、以下のようなものがあります。
- ・コーキング処理 1〜3万円程度
- ・屋根材の部分交換 1m2につき10,000円程度
- ・棟板金の交換 1m2につき5,000円程度
- ・谷板金の交換 1m2につき5,000円程度
費用相場も大体上記の金額がかかります。
部分補修する範囲によっては10万円以下の費用で補修が可能です。
塗装による全体補修
屋根全体が色褪せている場合、塗装が剥がれている可能性があります。塗装が剥がれて金属が剥き出しになっていると、サビの原因にもなります。金属は熱を通しやすいので、遮熱効果の高い塗料を使うことで家の中に伝わる熱伝導率を減らすことが可能です。
塗装工事の工程は以下のようになります。
- 足場を組む
- 下地の調整、サビやめくれをメンテナンスする
- 高圧洗浄機で洗って塗料がつきやすい状態にする
- 3回重ね塗りをする
工期は大体10〜2週間程度かかり、費用相場は1㎡で2,000〜4,000円程度です。
葺き替えによる全体補修
葺き替えとは、屋根を撤去して新しい屋根に交換する工事のことをいいます。
これは、補修できないほどに屋根が傷んでいる場合や、屋根の寿命がきている際に屋根の葺き替え工事をします。葺き替え工事では、屋根の中にある下地の防水シートや野地板の傷みが激しい場合、下地の交換もしなければなりません。大掛かりな工事になるため、工期も長くなります。
葺き替えによる全体補修の費用相場は、1㎡につき10,000〜16,000円程度です。
カバー工法による全体補修
カバー工法とは、現場の屋根材の上に新しい屋根に被せてカバーする工法です。
早いうちに雨漏りを発見し下地への影響がほとんどない場合にカバー工法は使えます。
カバー工法には以下のようなメリットがあります。
- ・断熱性・遮音性・防水性が上がる
- ・リフォーム費用が葺き替えよりも安く済む
- ・工事の際に騒音などの近隣トラブルが少ない
- ・アスベストが含まれた屋根材でも使える
瓦屋根などのように重量のある屋根の上にカバー工法の施工はできませんが、軽量の金属屋根であれば施工は可能です。
カバー工法による全体補修の費用相場は、1m2につき5,000〜11,000円程度です。
火災保険は屋根の修理に適用されるの?
家の屋根が雨漏りした時に、火災保険が使えるかどうか気になるのではないでしょうか。
雨漏りの原因によっては火災保険が適用される場合があります。自然災害により建物が被害を受けた時に、その修繕費を補助してくれる特約があります。この特約が適用されれば、自己負担なしもしくは一部負担で屋根修理が可能です。
ただし、火災保険が適用されるかどうかは保険会社の判断に委ねられるため、適用されるかどうかは保険会社に確認してみましょう。
伊藤工芸では、「火災保険を使って雨漏り修理がしたい」とお考えのお客様のために、火災保険申請サポートを承っております。詳しくは下記ページをご覧ください。
屋根の修理で使える補助金制度とは?
屋根の修理で補助金が使える場合もあります。
使える可能性がある補助金制度は主に以下があります。
- ・長期優良化リフォーム推進事業制度
- ・省エネ改修補助事業
- ・耐震診断・改修等補助制度
上記の補助金の中には最大100万円の補助金交付を受けられる可能性もあります。
ただし、屋根の経年劣化による機能改善・機能維持を目的とした工事の場合は、補助金対象にはなりません。省エネ改修・耐震改修を伴う工事でなければ、屋根の修理で補助金制度は受けられません。
まとめ
金属屋根の特徴や雨漏りの原因・症状、応急処置や修理方法について解説しました。
金属屋根は雨漏りのリスクは少ないですが、それでも雨漏りが発生する可能性は少なからずあります。
自然災害などにより雨漏りした場合に備えて、金属屋根の雨漏りの原因や修理方法などを確認しておくようにしましょう。