車庫やガレージからの雨漏りの原因と修理方法
2023/12/05
近年、一戸建て住宅では車庫やガレージの設置が一般的になってきています。
こうした車庫・ガレージの所有者の中で、雨漏りの問題を抱えている方は少なくありません。
住宅本体と比べて簡素な作りになっている車庫・ガレージは、雨漏りのリスクが高くなりがちです。
住宅の一部ではないため深刻に受け止められにくく、そのまま放置されているケースも見受けられます。
しかしながら、放置すると建物の劣化を加速させる原因となるため、適切な対応が求められます。
そこでこの記事では、車庫・ガレージにおける雨漏りの主な原因と、その修理方法についてご紹介していきます。
車庫・ガレージの基本構造と種類
車庫・ガレージは、単なる屋根だけのカーポートとは違い、屋根と壁で車両を保護する空間を形成しています。建材には木造、鉄骨、コンクリートなどが使用され、独立型と住宅一体型の2つの設置方式があります。
主な種類として、以下のようなタイプがあります。
- ・住宅の外観に合わせた木造タイプ
- ・複数台駐車可能な重量鉄骨タイプ
- ・簡易組立式の既製品タイプ
- ・住宅と一体化したビルトインタイプ
- ・斜面地を活用したコンクリート造の地下タイプ
構造や材質によって雨漏り対策の方法が変わってくるため、自身の車庫タイプを把握しておくことが重要です。
車庫・ガレージの寿命について
車庫・ガレージには構造によって異なる寿命があり、適切な管理が必要不可欠です。
建物の寿命が近づくにつれて、様々な不具合、特に雨漏りが発生しやすくなってきます。
木造や金属製の場合、一般的な寿命は20~30年とされており、定期的なメンテナンスが欠かせません。特に10年ごとの塗装工事で防水機能を保つことが推奨されています。
一方、鉄筋コンクリート製は30~50年と比較的長持ちします。ただし、経年劣化により内部の鉄筋が腐食し、構造にひび割れが生じる可能性があります。
特にコンクリート造は、一度問題が発生すると大規模な修繕工事が必要になるため、日頃から状態をチェックし、早期発見に努めることが大切です。
車庫・ガレージの雨漏りの原因
以下では、車庫やガレージで発生する雨漏りの主な原因について詳しく見ていきます。
木材の劣化による浸水
木造の車庫・ガレージでは、外装材の経年劣化により雨漏りが起こることがあります。特に紫外線による塗装の劣化が進むと、木部が露出して水分を吸収し、構造体の損傷につながります。定期的な塗装の更新が欠かせません。
屋根材の損傷
独立型の車庫・ガレージでは、ポリカーボネートや金属、ガラスネットなどの耐久性の高い屋根材が使用されています。しかし、これらの材料も自然環境による劣化は避けられません。
ポリカーボネート屋根は衝撃に弱く、金属屋根は接合部の緩みや錆びが問題となります。特に金属製の場合、10年程度で塗装の更新が推奨されます。また、鉄骨部分も同様のケアが必要です。
結露による影響
温度差による結露は、建材の劣化を加速させる要因となります。木部のカビや金属の腐食を引き起こし、最終的には雨漏りの原因となることがあります。内部に防露材を設置することで対策が可能です。
施工上の問題
組立式の車庫・ガレージでは、不適切な施工が雨漏りを引き起こすことがあります。基礎工事の不備や固定具の緩みが主な原因です。また、強風や台風による部材の損傷にも注意が必要です。
排水機能の不全
住宅からの雨水が車庫に流れ込む構造の場合、排水能力を超えて雨水が滞留することがあります。また、落葉による排水路の詰まりや、不適切な勾配設計も雨漏りの原因となります。積雪による構造的な損傷も要注意です。
コンクリート構造の防水性低下
コンクリート製の車庫・ガレージは、防水層の劣化やひび割れにより雨漏りが発生することがあります。特に白濁した水滴や白い粉の析出が見られる場合は、防水工事の検討が必要です。
ビルトインタイプの特有問題
住居や庭園と一体化した車庫では、上部構造の防水不良や植物の根による損傷が起こりえます。修理には建物全体に関わる大規模な工事が必要になる場合もあります。
構造的な変形
地下式の車庫では、上部からの荷重や周辺工事の影響でコンクリートにひび割れが生じることがあります。耐久性の高いコンクリート造でも、過度な負荷がかかると深刻な損傷につながる可能性があります。
車庫・ガレージの雨漏りによる被害
車庫・ガレージの雨漏りは、一見すると深刻でないように思えますが、保管している物への水濡れ被害は避けられません。
特に懸念されるのは、雨水に含まれるコンクリート成分や錆びの粒子が車両の塗装面に付着することで、車体の劣化を引き起こす可能性があります。
また、コンクリート製の車庫では、亀裂から侵入した水分により内部の鉄筋が酸化して膨張することがあります。
この膨張によってコンクリートに亀裂が広がり、最悪の場合、破片が落下する事態も考えられます。
車両や人身への被害を防ぐためにも、雨漏りの兆候が見られたら速やかな対応が不可欠です。
雨漏りの修理方法
車庫・ガレージの雨漏り修理には、症状や構造に応じてさまざまな方法があります。以下で具体的な対処法をご紹介します。
応急処置と部分的な修理
小規模な雨漏りの場合、まずは応急処置として対応が可能です。壁や屋根の小さな亀裂には防水用コーキング剤を使用し、金属部分の穴には防水テープで一時的な処置ができます。
木造や金属製の車庫では、修理後の防水性を高めるため、表面全体への塗装作業が推奨されます。コンクリート製の場合は、専用の補修材や止水剤による処置が効果的です。
ただし、目に見える部分以外にも損傷が及んでいる可能性があるため、専門家による点検をお勧めします。
定期的なメンテナンス
金属製の屋根を持つ車庫では、10年ごとの塗り替えが重要です。この際、錆びの除去と高圧洗浄を行い、その後で保護塗装を施します。
大規模修理の選択肢
深刻な雨漏りが発生している金属屋根の場合、二つの修理方法があります。一つは既存の屋根の上から新しい層を重ねるカバー工法で、もう一つは屋根全体を取り替える葺き替え工事です。
カバー工法では、防水シートを使用する方法とガルバリウム鋼板を用いる方法があります。シート防水は比較的安価ですが、15年程度で交換が必要になります。一方、ガルバリウム鋼板は耐久性が高く、断熱材との併用も可能です。
葺き替え工事は、既存の屋根を完全に撤去するため、工期と費用は増加しますが、より確実な雨漏り対策となります。
コンクリート製車庫の防水対策
コンクリート製の車庫で内部からの修理が困難な場合、外部からの防水処理が必要となります。主な方法として、防水シートの施工や特殊な防水塗料の塗布があります。
露出したコンクリート面であれば比較的容易に工事できますが、建物や庭と接している場合は、より複雑な工事計画が必要になることがあります。
まとめ
本記事では、車庫・ガレージにおける雨漏りの問題点と対処方法をご紹介いたしました。
様々な建材を使用する車庫・ガレージでは、それぞれの特性に応じた異なる対策が求められます。
小規模な雨漏りは自己修理も選択肢の一つですが、建物の構造や使用素材によっては専門的な工事が必要となることがあります。
状況の判断に迷った際は、早めに専門家による調査をご検討ください。