塗装が必要な瓦屋根とは?
2023/05/24
「自宅の屋根は瓦だけど、瓦にはそもそも塗装が必要なのか」
「どのような瓦に塗装が必要なのか」
「瓦の塗装にかかる費用はどのくらいなのか」
気になりませんか?
実は、瓦には塗装が必要なタイプと不要なタイプがあります。
塗装が必要なのは、セメント瓦、スレート瓦、金属瓦です。
これらの瓦が劣化し、塗装せずに放置してしまうと、雨漏りの危険性が高まります。
この記事では、塗装が必要な瓦屋根や塗装の必要性、瓦屋根を塗装する際の注意点、さらに塗装の費用相場について詳しく解説します。
瓦の塗装メンテナンスを考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
粘土系以外の瓦屋根には塗装が必要です
屋根の瓦には、塗装が必要な種類と必要でない種類があります。
塗装が必要な瓦は、「セメント瓦」「スレート瓦」「金属瓦」の3種類です。
一方で、塗装が必要ない瓦は「粘土瓦」と呼ばれるものです。粘土瓦の代表的なものには和瓦があり、日本瓦ともいいます。
粘土瓦は粘土を原材料とし、乾燥後に高温で焼き上げて形を作ります。陶器のお皿を思い浮かべると分かりやすいでしょう。
高温で焼くことで、表面にガラス質の膜ができます。この膜は丈夫で、耐候性や防水性、耐久性に優れています。また、水や汚れを吸収しにくくなるため、紫外線や雨風から瓦を守る役割があります。
そのため、粘土瓦には追加の塗装は必要ありません。
また、ガラス質の膜は塗料と密着しにくく、塗装を重ねてもすぐに浮き上がってしまうため、塗装がはがれやすくなります。
色の変更を目的として塗装することはできますが、はがれやすくなるため、おすすめはしません。
塗装の必要性
塗装の必要性についても、少しお話しておきます。
塗装は家を雨から守る防水の役割や、紫外線による劣化を防ぐ役割を果たしています。
塗装の膜がはがれて放置すると、素材が劣化し、ひび割れが生じることがあります。特にセメントは乾燥収縮によるひび割れが多いです。
劣化した箇所に雨水が浸入すると膨張し、紫外線の影響で乾燥収縮も起こします。
この繰り返しで素材は割れやすくなり、ひび割れが生じ、雨水が浸入して雨漏りの原因になります。
雨漏りを防ぐためにも、塗装は重要な役割を果たしているのです。
セメント瓦とモニエル瓦の見分け方
ここでは、塗装が必要な瓦の見分け方について、かんたんに解説します。
各瓦の特徴に関しては、次の章で解説しますので、参考にしてみてください。
セメント瓦には、「セメント瓦」と「モニエル瓦」の2種類があります。
見分け方としては、小口(こぐち)を確認する方法がわかりやすいです。
小口とは、瓦の切り口もしくは断面のことをいいます。
断面がボコボコや凸凹(でこぼこ)しているものが「モニエル瓦」です。
逆に「セメント瓦」は断面が平らでツルツルしています。
セメント瓦かモニエル瓦かは断面を見ることで見分けることができます。
瓦屋根の種類と塗装のタイミング
ここでは、瓦屋根の種類と塗装メンテナンスをするタイミングについて解説します。
セメント瓦
セメント瓦には、前の章で説明したように、セメント瓦とモニエル瓦があります。
セメント瓦はセメントを原材料とし、水を混ぜて固めたものです。
色やツヤがなく、防水性もないため、そのままだと雨を吸い込んでしまうため塗装が必要となります。
一方、モニエル瓦は同じくセメントを原材料とし、砂を混ぜたもので、表面がざらざらしています。「乾式コンクリート瓦」とも呼ばれることもあり、デザイン性に優れ、耐久性も高いのが特徴です。
セメント瓦、モニエル瓦ともしっかりメンテナンスしていれば、30〜40年は保つといわれています。しかし、メンテナンスしなければ数年で劣化してしまいます。
ひび割れなどの劣化を防ぐためには、10〜15年程度をメンテナンス時期として見ておくとよいでしょう。
スレート瓦
スレート瓦は、セメントと人工繊維や天然繊維をベースに薄くカットした屋根瓦です。
セメントや粘土瓦に比べて加工しやすく、複雑な形状にも施工できるのが特徴です。
以前は天然繊維の石綿であるアスベストが使われていましたが、環境面の配慮から、現在は石綿以外の素材が使用されています。
スレート瓦もセメントを原材料とするため、塗装が必要です。
セメント瓦よりも薄いため、劣化が早く、8〜10年程度でメンテナンスが必要となります。
金属瓦
金属瓦はその名のとおり、金属で作られた屋根材です。
アルミニウムや鉄、銅、ステンレスなどの素材があり、トタンやガルバリウム鋼板などがあります。
軽量で耐久性もあるため、耐震性に優れているのが特徴ですが、金属のためサビが発生します。
しかし、現在では「超高耐久ガルバ」と呼ばれる、通常のガルバリウム鋼板よりも寿命の長いものを採用した「スーパーガルテクト」という屋根材もあり、サビにも強くなってきています。
トタンは5〜10年、ガルバリウム鋼板は10〜15年程度ごとに塗装メンテナンスすることをおすすめします。
粘土瓦
粘土瓦は冒頭でも説明したとおり、基本的に塗装が不要です。
粘土系の瓦は陶器のような素材であり、ガラスの膜ができるため耐久性や耐水性に優れています。耐用年数としては約60〜100年といわれています。
ただし、瓦同士を接着する漆喰(しっくい)や、瓦の下にある防水シートや下地材については、10〜15年ごとのメンテナンスが必要です。
漆喰や防水シートが劣化したまま放置すると、雨漏りの原因になってしまいますので、放置せずにしっかりとメンテナンスしていくようにしましょう。
塗装が不要な粘土瓦ですが、近年では塗料の性能があがったことや瓦の経年で生じる色ムラなどの対処策から、粘土系瓦用の塗料も出てきました。
伊藤工芸でも粘土瓦の塗装をおこなっておりますので、気になる方はお気軽にお声がけくださいね。
瓦屋根の塗装の注意点
ここでは、瓦屋根を塗装する際の注意点について解説します。
これらの注意点を理解しておくことで、瓦屋根の塗装における失敗を回避できます。
下地処理をきちんと行う
塗装が必要な瓦には、しっかりとした下地処理をする必要があります。
下地処理が不十分だと、密着性が低くなり、塗膜のはがれや耐久性の低下が生じ、塗装本来の性能が発揮されません。
モニエル瓦はスラリー層で形成されているため、しっかり除去しないと塗装がはがれやすくなります。サビ落としや古い塗料をしっかり落とすケレン作業や、高圧洗浄でしっかり塗装面をきれいにしておく必要があります。
また、スレート瓦では、タスペーサーを使用して縁切りをしっかり行う必要があります。
縁切りとは、瓦同士の縁を切って隙間を作ることです。
スレートは薄い板を重ねる工法のため、塗装すると隙間が埋まってしまいます。
縁切りをしないと、雨をさばけずに、瓦内部に雨が溜まってしまい、雨漏りの原因となってしまうのです。
専門の塗装業者に依頼する
瓦の塗装メンテナンスをする場合は、しっかりと実績のある専門業者へ依頼することをおすすめします。塗装には資格が必要ないため、技術力に差が生じることがあります。
塗装業者の実績や技術力が不十分だと、残念ながら瓦の特性を理解せずに塗装を行い、塗膜の剥がれなどの問題が生じる可能性があります。また、余計な費用が発生する可能性もあります。
「下地処理をきちんと行う」のところでも説明したように、セメント瓦とモニエル瓦の塗装の仕方は異なり、特徴も似ているため、しっかりと見極めて塗装する必要があります。
塗装技能士の資格を持つ専門の塗装業者や、モニエル瓦やセメント瓦の施工実績が豊富な業者に依頼することをおすすめします。
また、突然訪ねてくる訪問業者にも要注意です。
十分な調査をしないで、契約を迫ってくる業者とは契約しないようにしましょう。
2〜3社に見積もりを依頼し、しっかりと塗装の種類や容量、乾燥工程などの記載がある見積もりと、説明がしっかりある業者に依頼するようにしましょう。
DIYでは作業しない
簡単な瓦のズレだからといって、DIYで行うことはおすすめしません。
瓦は屋根にあるため、高所での作業になります。慣れている職人でも落下による事故もゼロではありません。
瓦は衝撃に弱く、割れやすい屋根材で、通常の屋根材よりは手間がかかる素材です。
瓦を踏んで割れたり、ズレたりすると雨漏りにつながるだけでなく、転落によるケガや死亡の危険性もあります。
余計に被害が拡大し、費用も増える可能性もあるため、専門業者へ任せるようにしましょう。
瓦屋根の塗装の費用相場
ここでは、瓦屋根の塗装にかかる作業費用相場について紹介します。
あくまで相場なので、参考程度に見てください。
工事内容 | 価格目安 | |
---|---|---|
① | 瓦交換(1枚あたり) | 1〜5万円 |
② | 足場代 | 10〜25万円 |
③ | 高圧洗浄 | |
(通常またはトルネード洗浄) | 1.6万〜5万円 | |
④ | 下地処理 | 1.6万〜4万円 |
⑤ | 塗装 | |
(下塗り〜中塗り〜上塗り) | 25〜40万 |
瓦交換(①)は、足場を必要としないのであれば、1〜5万程度になりますが、瓦塗装(②〜⑤)となると、38〜74万円となります。
使用する塗料はウレタンなのか、フッ素や無機塗料なのかにもよって価格は変わってきます。
屋根瓦の塗装は伊藤工芸へ!
今回は、塗装が必要な屋根瓦について解説しました。
セメント瓦、スレート瓦、金属瓦の3種類が塗装が必要な瓦です。瓦の塗装費用の相場は、塗料の選択によって費用が変わりますが、38〜74万円程度を見ておくとよいでしょう。
粘土瓦は基本的には塗装が不要ですが、漆喰や下地材の劣化は早いため、定期的なメンテナンスが必要です。
塗装のメンテナンスを行う際は、経験豊富な屋根工事や屋根塗装の専門業者に依頼すると安心です。
浜松市周辺で屋根塗装や屋根修理を考えている方は、伊藤工芸におまかせください。
丁寧な下地処理と、お客様の希望に合わせた素材と塗料を選んで、高品質な塗装工事を提供しています。
工事後も安心してお過ごしいただくため、部分補修にも10年間の保証付きです。屋根瓦の塗装でお悩みの方は、ぜひ伊藤工芸に相談してください。