屋根のカバー工法とは？メリットやデメリット、工程について解説
2023/10/02
外装リフォームといえば屋根の葺き替え工事が挙げられますが、もう一つの工法としてカバー工法が挙げられます。
屋根のカバー工法は屋根の葺き替え工事よりもコストがかからないので、あまり費用をかけたくないときに依頼するのがおすすめです。築年数が経って屋根が劣化してくると、雨漏り等のトラブルが発生しやすくなるので、カバー工法を検討する必要性があります。
それでは、屋根のカバー工法とは何か、どんなメリットやデメリットがあるのか、作業工程についてご説明しましょう。
屋根のカバー工法とは？
屋根のカバー工法とは、現在の屋根材の上から防水シートを貼り付け、その上に新しい屋根材を取り付ける工法です。
似たような屋根の工事に葺き替え工事がありますが、葺き替え工事は既存の屋根をすべて解体・撤去して新しい下地、野地板、防水シート、屋根材を設置するのが大きな違いです。ただ、大がかりな工事になるので工期が延びやすく、工事費用も高くなりやすいでしょう。
しかし、カバー工法は葺き替え工事ほど複雑で時間がかかる工事ではないので、短期間で終わる上に費用も安い傾向にあります。塗装するより長持ちするだけでなく、既存の屋根を解体・撤去する必要性もありません。
出てくる廃材も少ないことから、周辺住民に迷惑をかけにくいのがポイントです。
屋根のカバー工法を行うメリット
屋根のカバー工法を行うメリットは、以下の通りです。
- ・断熱性や遮音性、防水性が上がる
- ・リフォーム費用が安い
- ・工期が短い
- ・騒音やホコリなどのトラブルが少ない
それでは、屋根のカバー工法を行うメリットについてご説明しましょう。
断熱性や遮音性、防水性が上がる
屋根のカバー工法に使われる屋根材は断熱材が取り付けられていたり、既存の屋根材の上から設置するのでさらに断熱性能が上がったりするのが大きなポイントです。
単に屋根材を重ねるだけでも断熱性能が上がる上に、遮音性も上がるので住宅性能がアップするといっても過言ではありません。
さらに既存の屋根材の上から防水シートを設置するので防水性が上がりますし、雨漏り防止の効果もあることから雨漏りを心配する必要性もないでしょう。
カバー工法を行うことで断熱性、遮音性、防水性の3つが高まるため、さらに快適に暮らすことができます。
リフォーム費用が安い
屋根のカバー工法のメリットは、何といってもリフォーム費用が安いことです。
比較対象の葺き替え工事は屋根材から下地まで全てを解体・撤去していくので、リフォーム費用が高くなりやすいです。作業工程が多い上に工期も長くなりやすく、住宅が大きいほど足場代も高くなっていくので、総合的にリフォーム費用が高くなりやすいです。
しかし、屋根のカバー工法は既存の屋根の上から新しい屋根材や防水シートなどを設置して施工するだけなのでリフォーム費用が安く設定されます。
定期的に塗装するときよりも安く抑えられることが多いため、葺き替え工事の必要性がない場合はカバー工法がおすすめです。
工期が短い
葺き替え工事と比較すると、カバー工事の方が工期が短いです。
葺き替え工事の場合は屋根の形状や大きさ等で左右されますが、かなりの工期になる可能性があります。しかし、カバー工法は基本的に屋根を解体して撤去する必要性がないため、1週間前後で施工が完了するのが一般的です。
ただ、屋根の形状や大きさによってはもっと長くなる可能性もあるので注意しましょう。
騒音やホコリなどのトラブルが少ない
カバー工法は葺き替え工事と比べて騒音やホコリなどのトラブルが少ないのがメリットです。
葺き替え工事は屋根の解体や撤去に伴って廃材が周辺に飛び散ることがある上に、重機による解体作業によって騒音やホコリによる迷惑をかける可能性があります。
しかし、カバー工法は解体も撤去もしないので騒音やホコリが発生することはありません。近隣住民に迷惑をかけずに工事ができるでしょう。
屋根のカバー工法を行うデメリット
屋根のカバー工法を行うデメリットは、以下の通りです。
- ・耐震性が下がる可能性がある
- ・対応できない屋根がある
それでは、屋根のカバー工法を行うデメリットについてご説明しましょう。
耐震性が下がる可能性がある
屋根のカバー工法は既存の屋根の上から新しい屋根材や防水シートを設置する工法なので、その分屋根が重くなります。
実際はそこまで重さに影響しないので耐震性に問題がない場合が多いですが、場合によってはカバー工法を行ったことで重心が高くなり、耐震性が下がる可能性も少なからずあるので注意が必要です。
対応できない屋根がある
カバー工法は基本的にスレート屋根のような屋根材の上にしか施工できないので、和瓦や日本瓦などの陶器瓦や、既に金属製の屋根材が使われている場合はカバー工法で施工することができません。
この場合、葺き替え工事しか対応できないので、それでも葺き替え工事を行う必要性があるのかしっかり検討しましょう。
屋根のカバー工法の工程
屋根のカバー工法の工程は、以下の通りです。
- 屋根の上部に換気口を開ける
- 唐草・板金を取り付ける
- 防水シートを取り付ける
- 屋根材を取り付ける
- 棟板金を取り付ける
屋根のカバー工法は葺き替え工事よりも作業工程が少ないので工期が短くなりやすいのがポイントです。
それでは、屋根のカバー工法の工程についてご説明しましょう。
①屋根の上部に換気口を開ける
最初に屋根の上部に換気口を開けていきます。
屋根に換気口を開けるのは、天井の上にある小屋裏の空気を抜く必要性があるからです。小屋裏の空気を抜いておかないと建物内部に湿気が溜まりやすくなり、カビや湿気によって木材を腐食させてしまいます。
②唐草・板金を取り付ける
唐草とは屋根の軒先のことで、板金は屋根の流れ方向の側面に取り付けていきます。
板金は屋根を施行するのに欠かせない部材なので、住宅を長持ちさせることができます。
③防水シートを取り付ける
次に既存の屋根の上から雨漏りを防止するための防水シートを取り付けていきます。
防水シートを釘で固定していきますが、押さえ緑と呼ばれる板金部材を挟んでから釘を打っていきます。直接防水シートを屋根に釘打ちしても、簡単に釘が抜けてしまうので板金を挟むのが大きなポイントです。
④屋根材を取り付ける
次に固定した防水シートの上から屋根材を取り付けていきます。
屋根材を上から下に向けて取り付けていきますが、一番下の屋根材は取り付けた唐草に引っ掛けるようにして取り付けるのがポイントです。
⑤棟板金を取り付ける
最後に棟板金を屋根材の上から取り付けていきます。
棟板金は屋根の棟に設置する部材で、雨水の侵入を防ぐ役割があります。先に棟板金をしっかり取り付けるために、下地となる木材を設置するのがポイントです。
そして屋根の形状に合う形状の板金を作成し、設置した下地の木材の上から棟板金を取り付けて完了です。
まとめ
屋根のカバー工法は葺き替え工事と比べて工期が短い上に費用も安くなりやすいため、特に雨漏りなどのトラブルが起きていないのであればカバー工法を行うだけで十分でしょう。
ただ、屋根が日本瓦や既に金属系の屋根材が使われている場合はカバー工法ができないため、葺き替え工事を行う必要性があるので注意が必要です。
伊藤工芸で行ったカバー工法の施工実績
