カラーベスト屋根の修理方法を解説
2024/05/12
カラーベストは、その軽さと薄さから広く使われている屋根材です。扱いやすさも特徴の一つで、多くの住宅で採用されていますが、製造された年代によってはアスベストを含んでいることがあり、注意が必要です。そのため、定期的なメンテナンスや、場合によっては葺き替えが必要になることもあります。
今回は、カラーベストの特徴や、適切な補修方法、そして大切なメンテナンスについてわかりやすくお伝えします。お住まいの屋根をより長持ちさせ、安心して暮らしていただけるよう、参考にしていただければ幸いです。
カラーベストとは
カラーベストの正式名称は「平型化粧スレート」です。
主な原料はセメントで、薄い板状に加工されているため、軽くて扱いやすいという特徴があります。
ただし、カラーベスト自体には防水機能がないため、表面に塗装を施して防水機能を加えています。軽量で取り扱いやすい反面、薄いために割れやすいという性質もあります。
カラーベストのメリット
カラーベストは多くの利点を持つため、幅広く使用されている屋根材です。ここでは、その代表的なメリットをわかりやすくご紹介いたします。
豊富なカラーバリエーション
カラーベストの最大の特徴は、その名の通りカラーバリエーションが非常に豊富であることです。さまざまな色やデザインが揃っており、建物の外観に合わせて最適な屋根材を選ぶことができます。デザインも直線型、波型、レンガ調、石材調など多彩で、屋根全体の美観にこだわりたい方にとってもおすすめです。
施工がしやすく、扱いやすい
カラーベストは軽量で取り扱いが簡単なため、施工性が非常に高い屋根材です。薄い板状のカラーベストをビスや釘で固定するため、作業がスムーズに進みます。施工がしやすいということは、施工業者も多く、工期も短縮できるという利点があります。さらに、製品自体が比較的安価であるため、施工費用を抑えることができる点も大きなメリットです。
建物への負担を軽減し、耐震性を向上
カラーベストは瓦屋根に比べて重量が約半分ほど軽いため、建物の柱や壁にかかる負担を大幅に減らすことができます。この軽さにより、屋根が耐震性能を高め、耐震補強工事にもよく採用されています。
カラーベストのデメリット
カラーベストには多くのメリットがありますが、使用する際には注意が必要なデメリットも存在します。ここでは、その主なデメリットについてご紹介いたします。
定期的な塗装メンテナンスが必要
カラーベストはセメントを主原料としているため、防水機能がありません。むしろ水分を吸収しやすいため、表面に塗装を施すことで防水や断熱機能を持たせています。しかし、この塗装も時間とともに劣化し、剥がれてしまうことがあります。塗装が劣化すると、屋根材の劣化やカビの発生につながるため、定期的なメンテナンスが必要です。
寒冷地では凍害に弱い
カラーベストは薄くて割れやすいため、特に寒い地域では凍害に弱い特徴があります。昼夜の温度差が大きいと、屋根材がひび割れたり破損したりすることがあります。そのため、寒冷地での使用には注意が必要です。気温の変化が激しい地域にはあまり適していないかもしれません。
古いカラーベストにはアスベストが含まれている可能性がある
1991年以前に製造されたスレート屋根にはアスベストが含まれていることが多いです。アスベストは健康に悪影響を与えることがわかっており、1991年以降は含まれていない製品が普及していますが、古い屋根材を撤去・処分する際には特別な手続きが必要です。これにより、手間や費用が増える可能性があります。
なぜカラーベストはひび割れするのか
カラーベストは割れやすい屋根材ですが、その原因はさまざまです。ここでは、主な原因について解説します。
新築時から割れている可能性
意外に思われるかもしれませんが、カラーベストは新築時にすでに割れていることがあります。軽量で扱いやすい一方、薄いため施工中に業者が気づかずに割ってしまうことがあるのです。このような場合、割れたままの状態で引き渡されてしまうことがあります。
他の工事中に誤って割れる
屋根に上る機会は少ないですが、塗装やアンテナ工事、清掃、板金の交換などの際に屋根に上ることがあります。このとき、誤ってカラーベストを踏んで割ってしまうことがあります。
経年劣化や温度差によるひび割れ
カラーベストは気温の急激な変化や温度差によってひび割れを起こすことがあります。また、時間の経過による劣化で耐久性が低下し、割れてしまうこともあります。
カラーベストのひび割れ補修方法
カラーベストはひび割れしやすい屋根材ですが、補修方法は比較的定番化されています。最も一般的な方法は「コーキングやパテをひび割れ部分に充填する」というものです。この方法は広く使われていますが、いくつかの欠点もあります。
まず、コーキングやパテを使ってひび割れを埋めるため、見た目があまり美しくならないことがあります。屋根材の外観が気になる場合、この点は避けられない問題です。また、コーキングやパテで表面を埋めるだけなので、根本的な修復にはならず、一時的な応急処置に過ぎません。そのため、時間が経つと再びひび割れが発生する可能性があります。
もしこの補修方法を選ぶのであれば、専用のひび割れ補修材を使うことをおすすめします。専用の補修材は、ひび割れ部分にしっかり浸透して埋めるため、仕上がりが綺麗で、耐久性も向上します。この方法なら、より効果的にひび割れを補修することができるでしょう。
カラーベストのひび割れがひどい場合の対応
カラーベストに小さなひび割れがある場合は、補修やメンテナンスで対応できますが、ひび割れが深刻な場合、補修では対応できないこともあります。その際には「葺き替え工事」または「カバー工法」のどちらかを選択する必要があります。どちらが適しているかは、業者と相談して決めるのが良いでしょう。
葺き替え工事
葺き替え工事は、現在設置されている屋根材をすべて撤去し、新しい屋根材を設置する工事です。劣化した屋根材をすべて取り除き、野地板やルーフィング(防水シート)も新しく交換します。これにより、屋根の下地からしっかりとメンテナンスでき、耐久性が大幅に向上します。
葺き替え工事は、屋根全体を新しくするため、長持ちする方法ですが、工事期間が長くなり、既存の屋根材を撤去する費用もかかります。工期や費用に余裕がある場合におすすめです。費用は屋根の大きさにもよりますが、スレート屋根の場合、150万~200万円程度が一般的です。
カバー工法
カバー工法は、既存の屋根材を撤去せず、その上に新しい屋根材を重ねて設置する工法です。屋根材を撤去しないため、撤去費用や工事期間が短縮されるのがメリットです。カラーベストの上には、軽量な金属屋根を重ねることが多く、耐震性能を維持しながら屋根のリフォームが可能です。
ただし、屋根が二重になるため重量が増え、耐震性に影響を与えることがあります。特に、重い瓦屋根などを使用する場合は、建物に大きな負担がかかるため、慎重な検討が必要です。耐震性を重視する場合には、軽い素材を選ぶことが推奨されます。
まとめ
カラーベストは、デザインやカラーバリエーションが豊富で、軽量で扱いやすいというメリットがあり、多くの建物に採用されているスレート屋根です。
しかし、「割れやすい」という欠点があるだけでなく、2000年頃までに設置されたカラーベストにはアスベストが含まれている可能性があるため、補修やメンテナンスの際には注意が必要です。
補修工事を行う際は、アスベストのリスクに対応できる専門業者に依頼し、慎重に進めることが大切です。